「廣田さん、この言葉はないと思うんです」。赤根監督が言うのです。「素粒子論とか量子力学とか言った方が今の子たちはピンときますって。なのに“タイムパラドックス”だなんて!」 す・すいません、監督! その原稿は却下します! 僕の頭がオヤジなんです。実年齢もオヤジですが……

 

『ノエイン』のキャラクターの中で誰に親近感を感じるかというと、そりゃもう郡山なわけです。つげ義春のマンガに出てきそうなこのくたびれたオヤジは、登場キャラクターの中で最高齢、長老です。にも関わらず(まだたったの)34歳です。
 アニメのキャラクターというのは、たいてい若めに設定されているのが常ですが、『ノエイン』の年齢設定はなかなか慎重です。郡山が34歳の割にくたびれているのは煙草と酒のせいではないでしょうか? 第6話では、ちょっと走っただけで息が上がってしまっています。第5話では内田さんが仕事してるのに、隣でビール飲んじゃってます。セクハラ発言もします。これぞまさにダメな大人……

 

 

 でも、僕は思うのです。カラスたち竜騎兵だけが“大人”だったら、もしかすると『ノエイン』は小難しく冷たいアニメになってたかも知れないと。第一話でアイにヘンタイとまで呼ばれてしまう郡山は、実は憎まれたり嫌われたりしながらみんなのストレスを和らげる“大人”なんです。そういう無知で俗で一見役に立たないオヤジが、世の中には必要なんですよ、ぜったい。
 皆さんのまわりに、そんな大人はいませんか?

 

 さて、1/25発売の『ノエイン』DVDに付属するライナーを編集していますが、ストーリーに合わせて各巻ごとに掲載するキャラクターを変えています。郡山にも先々見せ場がある(ハズ)なので、内田さんとツーショットで載せてあげられる時を今から楽しみにしてるんです。フリーライターの廣田恵介でした。