はじめまして、『ノエイン』公式サイトの「各話紹介」を担当しております、ライターの廣田と申します。他には、フリーペーパー「アニカン」で、赤根監督のインタビューも書きました。今日は、そのときのこぼれ話と第四話『トモダチ』の見どころなどを……

 

 「アニカン」の取材時点では、まだ第一話すら見ていなかったのですが、絵コンテや脚本はかなり先の方まで読ませていただいていました。その時、僕の脳裏に浮かんだのは「NHK少年ドラマシリーズ」。放映開始は1972年なので、「覚えている」という人はそれなりのお年のはず。でも、筒井康隆さんの『時をかける少女』の映像化はNHK少年ドラマシリーズが最初(『タイム・トラベラー』というタイトルでした)。少年少女が主人公で、ちょっとSFでミステリアスで……そんなドラマが多かったので、『ノエイン』ってNHK少年ドラマシリーズみたいじゃん!と。

 さて、取材当日。赤根監督に「少年ドラマシリーズを意識されてませんか?」と質問したところ、「夏休みに少年が家出する、というシチュエーションは、少年ドラマシリーズの一本がキッカケだったんですよ」。そのドラマのタイトルは、『ぼくがぼくであること』。……ね、題名からして『ノエイン もうひとりの君へ』と繋がりませんか?

ただ、読者に「NHK少年ドラマシリーズが原作」と誤解されかねないので「アニカン」には載せませでした。監督にもうちょっと突っ込んだところをお聞きしたところ、「男の子と女の子とでは、家出に対する現実感覚が違うのでは……ハルカは家出というものを現実的に考えているので、あのドラマとはちょっとニュアンスが違うんです」とのこと。

 『ぼくがぼくであること』は山中亘さんの同名小説をドラマ化したもので、1973年に放映されました。現在はDVDすら出ていませんが、原作本は入手可能です。小学六年生の少年が夏休みに家出して……というお話で、別にラクリマ時空とか龍のトルクは出てきません。念のため。

 

 さて、第4話『トモダチ』。第3話までのサスペンスフルな展開とは異なり、ハルカとアイの心温まる友情のエピソードでしたね。僕はオッサンの割に涙もろいので、ラストはちょっと泣いちゃいました。

一番の見どころは、二人がえんえんとビンタしながらののしり合うシーン。「ののしり合う」とはいっても、12歳同士のケンカだから、どんどんボキャブラリーが減っていくのがリアルでした(笑)。これから視聴する方は、お聞きのがしなく。竜騎兵たちの超人的アクションもすごいけど、女の子同士のケンカも手抜かりなく動かすのが『ノエイン』というアニメです。あんだけビンタしてたら、そりゃ疲れるよな……

今回もいくつかの謎が散りばめてはありますが、それは後からDVDで見直すことにして、12歳ぐらいの頃の体いっぱいぶつかった親友とのケンカの日々を思い出しながら見るのが正解でしょうね。誰だって、本当の友達とはこんなケンカをしてきたはず!……と、年齢的には郡山すら追い越してしまった廣田は思うのです。